2008年2月3日日曜日

私の好きな本⑥トーマス・マン「ベニスに死す」

これは原作の小説にヴィスコンティの映画、そして映画の中で使用されたマーラーの交響曲第5番の3つが絡み合って魅力を構成している。
「少年愛」「デカダンス」「いかがわしさ」「官能の美」「閑暇に生きる日々」「感情の遅咲きの冒険」そして、破滅への道。
いろいろな解釈ができるのだろうが、マーラーの曲とヴィスコンティの映像美のシャワーの中で、アッシェンバッハとタッジオの二人の視線が絡み合う世界に傍観者として身を置くことで陶酔できるものがここにはある。
避暑地リドの海岸の風景の中のデッキチェア、いずれは訪れて身を横たえてみたものだ。

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