2008年2月3日日曜日

私の好きな本⑦村上春樹「午後の最後の芝生」

やっと村上春樹が登場。80.5.22に買った「風の歌を聴け」から村上春樹のものは小説も翻訳もエッセイもずっと読んでいるから、当然トップに出てきてもいいのだが、なんとなく成り行きでこういうことになってしまった。
そして、取り上げるのは「午後の最後の芝生」。
はじめは“中国行きのスローボート”の中の短編として読んだ(のちに英語版の「象の消滅」の中の一篇としても読んだ)。たくさんある村上春樹の小説の中で何故これなんだろう。余り深く考えることはここではやめておく。長編では「羊をめぐる冒険」なのだが、最も村上春樹らしさを感じる小説ということになると、個人的にはこれを挙げたい。
話は単に他人の家の芝生をアルバイトで刈る話なのだ。芝生をキチンと刈るのが好きで、丁寧な仕事をして印象が変わった庭を素敵と感じて、まあ、それが好きでやりがいを感じるのだ。まあそれだけの話ではある。
気づいた範囲内で、この小説で「素敵」という言葉が2回使われる。そのシーンを僕も素敵だと思う。
人生において一番大切なことは「素敵」と思えることがどれだけたくさんあるかということなんじゃないかななんて思う。成功とか達成とかいうことより、そんなことなんじゃないかなと思う。この小説は「素敵」ということを僕に教えてくれた小説なのだ。

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