2008年2月25日月曜日

ゲーテ「イタリア紀行」を旅する

29.Mar.1976と購入した日付のある岩波文庫のゲーテ「イタリア紀行 上」。なじみのない土地や寺院、遺跡の名前が山のように出てきて読みにくかったからか、前の方だけ読んだだけで終わっていたことが、この本を手にとらせた。たくさんの写真も美しかった。この本の作者はかって旅行会社に勤めていて、現在はボローニャに在住する旅行作家。ゲーテの「イタリア紀行」を丹念に読み、ゲーテがたどった寺院や遺跡やホテルをくまなく完全踏破したという魅力的な内容。
読んでみると「イタリア紀行」の記述に基づいて、丹念にそのあとをたどり、そして訪れた場所の紹介は周辺知識も含めてお手の物であり、見事である。しかし、ガイドとしては完璧であっても何かが足りない気がした。
ゲーテの「イタリア紀行」と、現在の「イタリア紀行」でゲーテが訪れた場所の紹介を完璧にしすぎた結果、完璧にするということに労力を使いすぎたのか、せっかく作者が自分が感動できる場所を贅沢にめぐりながら、自分の感動・興奮・発見が表現できていないように思う。写真を撮りすぎると、写真を撮ることに集中してしてしまって感動がおざなりになる、というのと同じようなことではないのかと思う。
割り切って「イタリア紀行」ガイドとして読めばいいのだと思う。自分でも車でいずれは訪れてみたいコースだ。そして、感動はちゃんとゲーテの「イタリア紀行」を読みなさいということなのだろう。

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