2008年1月23日水曜日

私の好きな本④西脇順三郎詩集


高校生のときにM先生に教えてもらった西脇の詩は一生の財産になっている。
詩集Ambarvaliaの、ギリシャ的抒情詩にある”カプリの牧人”という詩
春の朝でも/我がシシリヤのパイプは秋の音がする/幾千年の思いをたどり
この詩に始まっていくつかの詩が、ガリ版刷りで高校生の私たちに手渡された。そのときの記憶はないが、そのときのガリ版刷りがまだ大事に残っているのをみると、衝撃的だったのだろう。
詩集には74.2.20の日付がある。高3の冬、受験の真っ最中だ。
それからずっと自分の中で大きな存在感を持ってきた書物。
一昨年は小千谷の記念館に行った。新潟でAmbarvaliaを買った。田村隆一の紹介で更に好きになった。独特の言葉使いのセンスは西脇の前にも人はなく、跡を継ぐものもいない。誰にもまねのできないものだ。想像力をかきたてるというのか、これまでの日本の詩にはないものがあった。下世話でない、高踏的な、西洋かぶれともいえるが、その比喩の使い方は西洋世界に対する並々ならぬ博学ぶりをあらわしてなお、何か私たちを新しい世界に誘う。
西脇については尽きない想いがあるが、とりあえず。
写真は観音崎にある西脇の碑。西脇の「燈台へ行く道」が刻まれている。

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