2008年1月18日金曜日

私の好きな本①江国香織「デューク」

江国香織さんの本の中では、初期の頃の童話のような話や、姉妹をめぐる静かな話が好きだ。
その中でもお気に入りの、江国さんの初期の小説「デューク」について少し書いてみる。
大好きだった犬のデュークが死んで、私はそれでも仕方なくバイトに行くために乗っている電車の中ても泣き続けている。デュークはそんな私の元に1日だけ少年になって現れる。少年は人気のないプールに私を誘ってくれて一緒に泳ぐ。思いがけず私は気持ちよくなって、逆に少年を美術館に誘い、そしてなぜかデュークが好きだった落語に誘う。最後に少年は私にキスをする。私はそのキスがデュークがいつもしてくれたキスに似ていることに気づく。デュークが別れを告げに来てくれたのだ。そして、少年は「お元気で」といって駆けて行き、消え、私は立ち尽くす。そんな文庫本でさえ6ページの短い小説。
割合最近、「私」の役を優香ちゃんがやってドラマになった。結構良かったからビデオにも録画してある。キスのシーンは小説とちょっと違ってた。
「右斜め後ろからやってくる不意のキス、そしてその後に続く長く甘いキス」
ドラマチックだし、犬がご主人様にするキスとしてもわからないことはないが、ちょっとあざといかなとも思う? でも、少し大袈裟なのがTV。とにかく小説も、ドラマも良かった。

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