2008年8月7日木曜日

深夜特急6②

イスタンブールからギリシア、イタリア・・・のヨーロッパは、沢木にとって香港・マカオ・インドで感じた強い刺激に比べて物足りない旅であったかもしれない。そして、マカオのリベンジを狙ったモナコも門前払い。そこから、何かを求めるかのような急ぎの旅の果てに到着したのが、ポルトガルのサグレス。きっとそこへは旅を安楽死させるために来たのだ。
熱を持ったカラダを冷やすにはふさわしい場所と時間が必要だ。
そのあとのパリ、ロンドンは、先進国に完全に復帰するためのリハビリの旅といってもいいかもしれない。
自分自身の北海道からの帰りも夜行を好んだ。時に釧路から二晩連続しての夜行で東京に戻った。たぶん夜行で、旅で覚えた歌を口ずさみ、暗い窓の外にわずかにみえる風景を眺めながら、熱を冷ましていたのだろう。

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