2008年5月8日木曜日

「ガウディの伝言」外尾悦郎

サグラダ・ファミリアは1882年から建設開始。2020年完成をめざしているとのこと。
“石の中に入って彫っている”というサグラダ・ファミリアの彫刻担当を30年続けている外尾さんはまさにサグラダ・ファミリアとガウディにとりつかれた男だ。
想像力を働かせ、考え、解釈する。外尾さんのこの書物は、ガウディとスペイン、とりわけカタルーニャ、そしてキリスト教に対する深い敬愛と洞察を買い綴った書物である。
サグラダ・ファミリアは完成を急がない。“神はお急ぎにはなりません”という思想のもと、構想の実現を未来に託したガウディ。人は生存中に名声を求める。賞賛を未来にゆだね、プロセスへの妥協のなさ、何よりも自分だけでは手が届かないぐらいの構想の大きさに我々は頭をたれるべきである。
サグラダ・ファミリアは建築・彫刻・光・音の総合芸術。サグラダ・ファミリアを楽器にするという壮大な構想。幸せとは未来にどれだけの希望を持っているかどうかだと言っていたガウディらしい壮大な夢であった。
また、ガウディは自然を教科書とした。建物を自然に還す、自然の秩序を乱さない、自然の偶然性に倣う、いずれも重要なガウディの自然に向かう態度だ。自然の前に謙虚に学ぼうとした。
ガウディは図面についてこう語る。
“図面を重要視しすぎると、ものを作る人間の想像力を奪ってしまうことがある”と。“規定”するのでなく、“触発”する図面が理想だったのだろう。
あらゆる人間の英知とアートをこの建築物に結集させた。
しかし、アートではピカソ・ダリ・ミロ、音楽ではモンポウ・カザルスなど才能あふれた人物が、ガウディのカタルーニャには偏在している。”人と違うことはいいことだ”という風土がカタルーニャにはあるそうだが、それだけでこんなにも才能が偏在するのか?考え方自体は大阪の”差をつけてナンボ”の大阪と同じなのだが。

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