2009年11月7日土曜日

柳島海岸石畳にて

11時を過ぎて日差しが強くなり、風も心地いい
ここのところ寒かったのがうそのよう
海は太陽の光で水面がキラキラ、銀細工のようにきらめき、
波の音はわすれていたものを呼び起こすように、昔の記憶を刺激する

そう、感じたら、ヘッドホンステレオの音が邪魔になり、耳からはずす
手繰ろうとしていた記憶は何だったのか
それは、するりと逃げ去り、目の前には真っ白なキャンバスだけが取り残されている
その前にたたずむ私は描く題材を持ち合わせていない
空気を感じ、光を感じ、風を感じ、自然の奏でる音に耳を澄ますとき、
自分の中の何かをとろかされたようで、とろかされたあと、何が出来上がるのか
想像もつかない

この柳島の石畳のような場所は、実は終着駅のようで気に入っている場所のひとつだ。
何か懐かしさのようなものがここにはある。
岩に砕ける波の音はひとつの要素だが、日差しとか風のにおいとか、、
そんなものも大切なパーツだ
海は、当然だが、魚とか海藻などの生臭いにおいがつきものである
漁港はたいてい臭いし、騒がしい
この場所は、そんなものは無縁で、ただ地球や海を感じさせてくれるものだけがあり、
そういうものに向かって、作られた舞台のような石畳で、僕はひとやすみする
靴を脱ぎ、ソックスをとり去って、石畳の上に仰向けに寝転がってみると、
そんな中に入り込み、ひとつになれるような心地よさが与えられる。まさに至福のとき。

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