2008年6月3日火曜日

青年は荒野をめざす

新装の文庫本の帯には、「60、70年代、この本は青春のバイブルだった」とある。しかし、この本を読んで感じたのは、これはノンフィクションではなくフィクションであるということ。本当に青春時代にナホトカ、モスクワ、ヘルシンキ、パリ・・・・と旅した人間の話としては余りにもリアリティがないということ。既に1972年には40才だった五木が青春期ではない時期に旅したことをあたかも青春期に旅したように作家としてフィクションした作品だと感じた。その当時では、この程度の話で充分若者をだませた、そういう書物ではなかったか?沢木耕太郎の「深夜特急」のリアリティには全く及びもつかないし、おそらく小田実の「なんでもみてやろう」とも全く違うものなのだろう。
今の五木寛之にとってこの本が本当に新装の文庫本で出す価値があるのか聞いてみたい気がする。

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