2008年3月16日日曜日

車谷長吉「赤目四十八瀧心中未遂」

まだ読んでいる途中だが、この本は描いている時代もあるが、社会の底辺に生きている人を描いている。その点において、読んでいる側にとっては目新しい。一流大学を卒業しながら焼き鳥屋の下請けとしてモツの串打ちという仕事に甘んじている男の話。本当はこんなところにいないはずの人間が底辺の社会を冷静に見ているいやらしさもある。逆にアッパーなものとしては、「グレートギャツビー」なんかはそうだろう。近年日本ではこのカテゴリーに作品がない。スキャンダラスなものをこのカテゴリーには期待できそう。この中間では、実際には事件や特別なことは日々起こるものではないということで、何も起こらない日常を淡々と描いた作品が最近目立つ。伊井直行著「愛と癒しと殺人に欠けた小説集」は、”不幸””恋愛””殺人”ばかりの小説界に一石を投じたものといえる。
それ以外の小説とテーマとしては、歴史を舞台にしたもの、海外を舞台にしたもの、妄想系のもの(SF系など)、特殊な世界を舞台としたもの(例えば、漆職人の世界を舞台に殺人事件を描くとか・・・)、など、組み合わせで魅力あるテーマがつくれる。
こんな風に小説の題材をテクニカルに分析して、魅力あるテーマをつくっていくことは可能に思う。

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