「東京バンドワゴン」小路幸也

エピソード満載、キャラクター見事、見事なドラマ。ドラマ化されていないのが不思議なぐらい。民放ではしんどいか？お茶の間風だけど、昔あったお茶の間ドラマとはキャラクターや事件が今風、そして不思議な風景。ウィットに富み、どんでん返しあり、謎解きありの、ワンダーランド。
百科事典の話、猫のベンジャミンの首に巻かれた文庫本のページの謎、すずみさんだったみすずさんの話・・・・、よくできてますねえ。そしてお話が優しくて、悪者はいないのがいいよね。幸せな気持ちになれるいまどき珍しい小説。「泣く」ための小説よりもずっとずっといいし、こちらのほうが創作ははるかに難しい。
この本、会社のTさんの紹介で借りて読んだ本だけど、「食事は家族そろってにぎやかに」という堀田家の家訓は、Tさんのおうちのようでもある。
今年のベストテンに食い込みそうである。