2009年3月9日月曜日

「資本主義はなぜ自壊したのか」中谷巌

・気になったのはアメリカ社会の「粗雑さ」という指摘。日本もそう。何かが壊れてきている予感。心、環境、食品・・・。ちゃんとしようとする気持ち。
・「怪物」としてのグローバル資本主義、マーケット至上主義、新自由主義。コンピュータもロボットも登場したときは怪物化することが懸念されたが、本物の怪物になったのは、91年の社会主義の崩壊で過信した資本主義であった。
・“まやかし”のキーワードとしての「改革」「自己責任」「規制緩和」「財政再建」「民営化」・・・・。これらのキーワードはいつも“絶対善”としてデビューした。一部エリートにとって都合のいい思想であり、格差正当化のためのツールになり果てた。知恵が回る奴らが世の中を跋扈している、油断はならない。
・“新自由主義”=“規制のない市場での競争が最適解を産む”という考え方はローカルな資本主義の下では機能しえた。しかしグローバル資本主義の下ではマーケットの調整機能がうまく働かない。
・さて、“潮目は変わった”。共和党の個人の自由優先から民主党の公共の利益優先の社会への転換が少しずつ始まる。こうやってアメリカ社会はバランスをとることを30年おきぐらいに行っているとのこと。
・しかしこの書籍はこのタイトルであるならば、グローバル資本主義制御の方法論に踏みこんでほしかった。“日本の特殊性”“価値”“文化”にスライスしすぎてはいないか?日本の互恵性、長期的なものの考え方、自然との共生、現場力、信用第一、一体感を重視術氏といっても、ハイエナのようなグローバル資本主義は見向きもしない。
・最後の目うろこは、“低信頼社会”では家族経営になるというもの。なるほど中国はそうである。

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