2010年10月1日金曜日

寂しい声

西脇順三郎の生涯の話。読むのは2回目。作者は工藤美代子。
岩波文庫のエリオットの新訳の「荒地」を買ったことから、こちらを先に読むことになった。
・ある日、さっと光が差し込むように、西脇の詩の美しさが、胸にきりきりと突き刺さっていた(わたしもそうだったし、その気持ちは現在形でもある)
・鼈甲のような夏
すさまじいまでの語学の勉強。そして日本人でありながらエリオットに負けない詩を作りたいという驚くべき目標設定、そういうプロセスを経て生み出された詩なのだ。
言葉の魔術師。・・・といえば、西脇、ユーミン、そして「おいしい生活」「不思議大好き」の西武百貨店のコピー。
・「アムバルワリア」は少々残酷な言い方をすれば、ほんの一瞬、ある時期に炸裂した打ち上げ花火ではなかったか。この色も輝きも、二度とそのあとには求められなかったと思えるのである。
・彼の詩には、実に多くの西洋文化の素養が固有名詞としてちりばめられている
どうしてか、最後の西脇が最期を迎えるくだりを読んでいて涙腺が緩んだ。なぜなんだろうか?敬愛の念か?これほどの人物にして少し悲しい最後に涙したか。
若いころからのたゆまぬ訓練が唯一無二の日本語世界を作り上げたのだと思う。驚嘆させられる。
やはりすごい人物だ。高校生の時に出会い、今なお敬愛できることに感謝。

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