2011年2月1日火曜日

「きことわ」

読んでいて、ゆったりとした、懐かしい時間の流れを感じられる本。
時々、意識的にであろう挿入されているやや古めかしい言葉が文章を引き締めている。
しかし、いったいどんな環境の中でこの文章は書かれたのだろうか?公園通りのスターバックスの片隅でパソコンをたたいて書かれたのではないことだけは確かだ。
上質の、日本風の、抑制の効いた文章は心地よい。
記憶でしかない過去と現実の距離の近さと、一方で果てしなくも感じられる距離感、不思議な感覚。
*雲量、ぼうとみていた、間怠くなる、秋もたけた、生を歴てきた、要事、いきすだま、石目をくくむ、溶明溶暗、からがる、手繰る、墨書看板、ひだるい、疾く過ぎる、鱈鍋、擦過する、春風駘蕩(たいとう)、半夏生、霑酔の末、瀟瀟とつづく、凍雨、雪が垂(しず)れる、平(なら)した・・・・・
こういった少し古い言い回しが品位を醸し出しているように思う。
しかし、こういう部品をどこで拾い集めてきたのだろうか。
「雨の日の白湯はやっぱり甘い」

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